境界線

「お前もあん中に入りたいだろう?」
記憶にある限りじゃ、彼にそう言われたのは最初で最後だ。
喜んで中に入っても良かったけど、オレは笑って断ることにした。
カウンターはオレにとっての境界線。
その中から出るコトを選んだときから、その中に戻ろうなんて考えることはやめにした。
入るときに望んだ意識以上に、出るときに刻んだ意識はより強く濃いものにしたつもりだから。
結局のところ、彼と同じ道を歩むことも同じ位置に立つこともなかったわけだけど、それで良かったと実のところホッとしている。
彼を上に持つにはオレには問題が多いし、オレを下に持つのにも彼には問題が多いから、上手くいくとはどう考えても思えないから。
カウンターっていう一枚板を挟んで向かい合う、そんな距離感がちょうどいい。
たとえ表面上にその板はなくとも、彼とオレとの間にはそういうものがこれから先もあり続けるのだと思う。
違う世界に立っている、そう実感させてくれる距離をこれから先も失いたくないとオレは願う。
あの境界線を忘れることなく心に刻みたいと。
あの古ぼけた一枚板をいつまでも。

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sakura

桜

春の色。
参道に咲く華。
雨が上がれば季節が移る。

up

瓶の群れ

旧いアメリカンロック。
深い琥珀色をした苦い炭酸水。
自分を取り戻すために必要な時間。

JPN cat day

麦酒

乾杯
嬌声
猫の日の為に

gradation

掛かる月

また明日。
夕飯の香り。
落下する夜。

overpass

歩道橋

深夜零時の散歩道
風は藍色
夜の音は白

carved seal

灯り

刻みたい。
記憶に、気持ちに、感情に。
少しでも、自分の痕を。

蒼月

月を探すのが好き
青空に架かる昼の白い月も
凍てついた夜空に蒼く灯る月も

新年イヴ

カフェカウンター

乾杯。
去年と今年と来年の間に。
シンプルに、気まぐれに、ええかっこしいで。

硝子色の朝

カラフェの日本酒

いただきます。
ごちそうさま。
食卓の温度。

rain,night,tomorrow

雨の路面

雨音。
夜の声。
明日、晴れるかなぁ。

candles

箱の中の蝋燭


「自分らしく、したいことをすればいい」
それは実に無責任なアドバイスで、 Details »

stand

川

好みの立ち位置というのが誰しもあると思うのです。
2番手でいるのが良かったり、真ん中が心地よかったり、浮いてるか沈んでるかが良かったり、 Details »

yellow magic

キイロ

Eagle,Shark,Panther.
カレーが好き。
ヒーローの色はキイロ。

maybe rain

信号機

本を開く。
言葉を紡ぐ。
雨の日の為に。

cherry

櫻色

感謝と哀悼と。
生と死の交錯する日。
列に並ぶのはもう少し先。