彼に何かを重ねていた。
出会った時から感じていた感覚。
最後の夜が過ぎ去って、しばらく経った夕暮れ。
埃っぽい匂いのする雨の降り始め、誰に重ねていたのかを鮮明に思い出した。
4年の歳月の中で失ったものに似たものを探り当ててしまっていたことを知った。
ただ、オレは昔よりも臆病になっていて踏み込むことをしなかった。
少し離れた所から、彼の夢を一緒に見ていたいと望むようになっていた。
「オレたちの見れなかった所まで見て来い」
夢を追う彼の目を思い返し、そっと雨に独語した。
最後の夜の涙を忘れない。
夢を追う彼の涙も、夢を見ることがかなわなかった彼の涙も。
雨の匂いが気持ちいい。
今日はいい日だ。
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