古い記憶を辿って、目の前の道具の使い方を探ります。
ひとつひとつの感触を確かめながら、何を動かせば何が反応するのか、何を覚えていて何を勘違いしているのか、そういったことをひとつひとつ試しては直し試しては間違えながら、ゆっくりとそれでいてしっかりと。
かつて何も知らずに同じ道具と向かい合った時の記憶は失われて久しいですが、その当時の自分の感想やぼやきといったものは何故だか妙によみがえってきたりして、どこか情けなくもあり懐かしくもある不思議な空気を楽しめたりします。
レンチのない中でペンチを駆使して螺旋をムリヤリ外した時の妙な汗、レフ版代わりの白カーテンのバカみたいな重さ、裁断された紙ゴミの冗談みたいな量と刃こぼれしたシュレッダーの嫌な鳴き声…。
直接は関係などないそういったことまでが記憶の片隅にはいて、手探りで思い出そうとする行為自体が何故だか楽しかったりする不思議。
錆びたと思ってはいても、実は記憶は鮮明で濃厚で…。
まだ思い出というには、ぐっと鮮やかな色で脳裏を過るのです。
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