テリーヌをオーダーし、シラーと共に舌鼓を打つ。
周囲は小奇麗な印象のあるカップルか女性2人連れで、喧騒とは無縁の店にふさわしい。
汚い不良中年予備軍は目を引くらしく視線を投げられるが、こちらとしては特に意識するものでもない。
甲斐甲斐しく動く奥様に控えめな会釈をしながら、豪快な口調で繊細な調理をするマスターの姿を眺めてみる。
オレが背伸びすることしか出来なかった時代から、同じ味と雰囲気を頑なに守ってきた彼らは尊敬に値するし、その守ってきたものが好きだからこそオレは1人になった今も足を向けるのだと思う。
上へ上へ前へ前へと変化し続けるよりも、そこに在り続けることの方がずっと難しい。
オレには真似の出来ないことだから、その様にオレは安心感を求めるのだろうなと。
デセールの甘さも、珈琲の苦味も。
10代の頃と何も変わりゃしない。
変わったのはオレだけ。
そうオレだけ。
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