フォトゼロ

春色の空。
彼の人の居ない其処。
いつしか一回り。

花散らしの降る前に。
白い色と葉の緑。
「また春が来たよ」

口に出して納得したこと。
「オレからイチバン遠い季節」
腑に落ちた。

暗転の恐怖。
あの夏の記憶。
静かな雨は福音。

長く曲がりくねった道。
グラスに火酒と琴酒を同量入れて。
もう少しだけ遠回り。

一回り。
辿る起源。
記憶にはない場所。

ジャズスタンダード。
スタンダードカクテル。
永く愛されるには理由がある。

I will meet you in some place,
where the light lends itself to soft repose.
I will let you undress me.

いつかの乾杯。
暑い日のそれと。
寒い日のそれと。

red, red wine.
stay close to me.
don’t let me be alone.

leave me alone it’s nothing serious.
I’ll do it myself.
it’s got nothing to do with you…

寒空と夜の匂い。
いつもより沢山彼らと話をする。
きょうは猫の日。

吹き抜ける風。
安酒の温度。
嬌声は遠く。

1本なら減算。
2本なら加算。
斜めにすれば乗算。

忘れたつもり。
閉じ込めたつもり。
でも、最初からそこには何もない。