wheel of fortune

No.10。
金冠の獅子。
転機を示す輪。

コメントはまだありません »

コメントを残す

白いスープ

白いスープ

波打ち際のスープ。
美味しく召し上がれ。

白木蓮

ズレる光

いつかの墓参り。
葬儀に参列できなかった方のそれ。
死の香りのまだ濃いその墓は手向けの花で彩られ、その人望の大きさを無言のうちに示している。
墓の前に座り込んで故人との思い出を手繰り寄せると、実に酷い思い出ばかりで苦笑いがこみ上げる。
不思議と涙が出なかったのは、既に荼毘に付された相手に現実味がなかったせいか。

悲しいのは彼の人が死んだことではなくて、これから先ずっと彼の人と共に歩くことがないということ。
それでも、オレは彼を忘れずにいる義務がある。
それが、歩む道を一瞬でも同じくしたオレが出来る唯一の手向けだから。

おやすみなさい。
また、どこかで。

CANDY

イロトリドリノイシ

同じバンドのそれでも、幼い頃とは違う曲をチョイスするもんですね。
柄でもないけど 会えると嬉しいよって。

つぼみ

つぼみ

うっすらと春の色がのぞいてます。
春風に揺れる小さな便り。

「また春が来るよ」と独語します。

「いいおんな」という店

籠から籠へ

テリーヌをオーダーし、シラーと共に舌鼓を打つ。
周囲は小奇麗な印象のあるカップルか女性2人連れで、喧騒とは無縁の店にふさわしい。
汚い不良中年予備軍は目を引くらしく視線を投げられるが、こちらとしては特に意識するものでもない。

甲斐甲斐しく動く奥様に控えめな会釈をしながら、豪快な口調で繊細な調理をするマスターの姿を眺めてみる。
オレが背伸びすることしか出来なかった時代から、同じ味と雰囲気を頑なに守ってきた彼らは尊敬に値するし、その守ってきたものが好きだからこそオレは1人になった今も足を向けるのだと思う。
上へ上へ前へ前へと変化し続けるよりも、そこに在り続けることの方がずっと難しい。
オレには真似の出来ないことだから、その様にオレは安心感を求めるのだろうなと。

デセールの甘さも、珈琲の苦味も。
10代の頃と何も変わりゃしない。
変わったのはオレだけ。

そうオレだけ。

刹那の恋人

赤煉瓦の道

「向かい合ってる時間だけは、オレの方が絶対に愛してる」

彼氏より旦那より。
彼女より嫁より。

いつか吐いた痛くて痒い台詞。
でも、オレにとっては真実。

キセキ

板

「会えて良かった」
「会わなければ良かった」

どちらもオレにとっては福音です。
オレという過去が、誰かの未来に影響を与えるなんて奇跡はなかなか起きるものじゃありませんから。

講師≠職人

講師って立場で考えちゃうと、どうしても甘やかしてしまったりしてしまうんですが、これが同じ職場の同僚ってことだったら話は別です。
学生や訓練生を部下に持ちたいかと問われると、答えはおのずと「NO」となります。
おそらくは彼らに言わせても、「NO」となることは想像に難くありません。

それは好き嫌いの問題ではなくて、1つにはオレのアンダーで働くには心が弱いからです。
包み隠さずに言ってしまえば、ここ半年の間に関しては1週間もてば御の字なくらいの相手にしか会ったことがありません。
オレの仕事に対する屋台骨ってのは暴力を伴う教育を基に作られていますし、それと同じことをするわけではないですが、体ではなく心を抉る術をもって部下や同僚・上長と向かい合うことが染み付いてしまっています。

そして、もう1つはプライドが無駄に高いというか、求められるものと自身のスキルとのギャップに気がついていないという点が気に食わないのです。
オレ自身が無駄に高いプライドを持ってるので、その無用さ加減もよく知ってますし、そこにすがる甘えの無益なことも知ってます。
職場っていう同じ船に乗ってる以上、その目的地にたどり着くよう努められないヤツであればオレは容赦なく切り捨てます。
道を違えても同じ目的を目指すのであれば合流もあり得ますが、そうでないのなら放置や分岐ということをせずに文字通りバッサリとサヨナラしてしまうってことです。
仕事ってやっぱりベクトルを同じくしても、その速度感や到達点の高低が異なってしまったら、満足のいくものって出来ないんだと思います。
以前は自分程度のものは誰でもできるとうそぶいてましたけど、自分の速度感や達成高度ってのは他に比べて速いし高いことは明らかです。
そこに到達できない、あるいは到達できるレベルにない相手は、やはりビジネス上は分かり合えることはあり得ないのだろうと思ってます。

大好きなプランナーの言葉の言葉を借りれば、「楽しくなければ仕事じゃない」わけです。
そして、オレのそれは周囲に言わせれば、楽しい以前に厳しかったりしんどかったりするものです。
笑って走り抜けたいから、オレは自分にとって楽しいことを他人に押し付けますし、他人のそれを押しつけられれば笑って受け入れるか、笑って押し返します。
そこに手を握って同調できる、あるいは面と向かって反発できる相手じゃなければ、オレと仕事をするのはツライだけなんだろうな…と思うわけです。

「貴方とだけは一緒に仕事したくない」
耳の中で響く言葉は、辛辣と納得を両手に携えてオレの心を抉るのです。

ディープ・インパク知

サンドイッチマンお持ち帰り

「1度会ったら忘れられないインパクトがある」
そんなことを言われる機会が、不思議と多いのです。

自分の居場所を作る、要は誰かの心に刻んでもらうためだったら、昔からその手段を厭いません。
語弊を恐れずに言えば、簒奪や暴力ですらもその手段になり得るわけですよ。

なぁなぁで時間を削っていくのは性に合わないし、世間一般の枠組みからドロップアウトして久しいですし、自分の望むものであれば横紙破りくらい平気でします。

多分、そういうのが普段の言動や行動や雰囲気に出ちゃうところで、1度見たら忘れないとか言われるんじゃないかなとかとか。
見えっつらは美形でも醜形でもない、まさに十人並ですから。

ただの灰になっても

いかすランプ

たまに思い出してくれりゃ、オレはそれでいいわけよ。
楽しかったなってね。

そんぐらいがちょうどいいんじゃないかなって、
肩の力を抜けるようになった今は素直に思うわけ。

不肖の弟子

布つきのライト

不肖の弟子であっても。
悪いニュースであっても。
誰よりも先んじて連絡してくれるのは、やっぱり嬉しいもんです。

フローリングにごろりと横たわって気付のスコッチを呷りつつ。
UsherをBGMにまどろみながら。

今にしてようやく貴方達の言葉が理解できた気がします。
ちょっと気づくのが遅かったのは申し訳ないですが、国替えの前だから怒られずには済むでしょうか。

影の樹

影の樹

冬の残り香が弾けた夜に。
凍てつくほどではないけど温いってわけでもない心地好い風。

グラス片手に少し寂しく思ったりもして。
独りの夜、好きだったはずなんですけどね。

水夫

水夫

たまに訊いてみたくなります。
ちゃんとオレは笑えていますか?って。

頭空っぽのチャラい兄ちゃんを演じてみても、そこはちっとも変わりゃしないのです。

猫の日

梅

まだまだ寒いですが、春は其処彼処に来ているようです。
付かず離れずついてくる黒猫としばし会談。

まだ春を迎えられた偶然に感謝。

左手の握手

赤い車

ふらついて、踏みとどまってみて。
酔っ払いさながらの姿に我ながら可笑しくなり、不意にふっとぼやけた左目の視界にいつかの光景を思い出します。

HIVに倒れ、光を失った彼の人が最後に握手を求めたのは左手。
オレは意を汲まずにその手を右手で握り、彼の人の口の端が人の悪い笑みに変わるのに微笑んだと記憶しています。

「お前がいるなら死んでも安心だ」という台詞に「死んでから言え」と毒づいたオレは笑えていたでしょうかね。
握り返したオレの右手はきちんと笑えていたのか、今になって聞いてみたくなります。

最期にちゃんと笑顔で向かい合えたかどうか、未だにそれだけは気掛かりです。