a bientot

寒い中、ベンチに座って空を見上げる。
空に星はなく、厚い雲の仏頂面が目に入る。
不意にGBM患者を見舞った時のことを思い出した。

頭を常にフル回転させ続けなければならないオレと違って、聡明な彼にとって頭の中が言葉にならない状態になりつつあるのは耐え難いことなんだろうと思う。
他愛の無い会話のひとつひとつが、ぼんやりとそれでいて確実に合致しづらくなっていく。

近しい人が国替えする時に、オレはその人と過ごした時間あるいはその人が自分の中に存在した時間だけ、自分の中から抜き取られていくように錯覚する。
彼との関係は今がまさにその過程で、彼の命数とオレの記憶との双方がゆっくりと削り取られていく。
可能な限り抗うことで、オレの中から失われるものはさらに大きく深くなるのだろうと思う。
しかしながら、それでいいことをオレは経験によって知っている。
表皮はおろかその深層まで失われ、大きく口を開けた傷口が、記憶の道標になることを知っている。

面会時間の終わりを迎え、再会を誓う「またな」の挨拶に、彼が差し出したのは左手。
オレはその意図を汲み取り、意地悪く笑顔を作ると、左手を右手で握り返す。

オレの畏怖して敬愛する人たちは、去り際までこんなに洒落者だから、オレはちょっとだけ意地の悪い返しをする。

いつか見た光景だと思った。

ありがとう。
いつかまたどこかで。

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Dirty Rotten Imbeciles

thrash

鋼鉄色の音。
赤銅色の泡。
美しくある音と味。

off shore

off shore

雷鳴。
陽射し。
夏の日の匂い。

gate

gate

狐火の灯る道。
非日常への入口。
非日常からの出口。

as a child

氷川丸

汽笛の音。
夜の匂い。
幼い頃の記憶。

月光

月ひとつ

非日常の灯。
月明かりは銀色。
月に映えるのは艶。

焼葡萄

camus

季節は巡る。
温度は変わる。
ボクはまだ此処に居る。

vedett

シロクマ

見た目が10割。
でも、ギャップも面白い。
振れ幅は大きい方が面白さも大きい。

Panache

グラスビール

夜の帳。
麦酒の泡。
初夏の匂い。

Gorgonzola

stracchino di Gorgonzola

見知らぬ仲間。
肌馴染みのある空気。
ボクは変わらず此処に居る。

PUNK

India Pale Ale

香り立つ泡の音。
寄せ集めで型作る芸術。
青二才が塗り替える常識。

memento mori

サクラ

春の国替えはずるい。
桜の季節に思い出すから。
でも「carpe diem」と心に刻む。

(V)o¥o(V)

鉄馬乗り

昼下がりの嬌声。
舌に響く前菜。
弾ける麦酒の泡の音。

light

ランタン

いつもの席。
いつもの曲。
いつもの非日常。

father

雨の碧

貴方のお陰で
随分と久しく
泣くことを思い出した

seven

夜桜

さくらさくら
花吹雪
舞い落ちる彩