見えるもの

いつからか見えるようになってた。
クスリあるいはシンナーをやっているヤツ、やめようと努力しているヤツ、やめてしばらく経ったヤツ。
世間的にはすべて同じに映るのは知っている。
オレも見えるようになるまでは、すべて同じように見えていたから。
肌で感じられるようになったのは、自ら進んでその輪に入ろうと試みたから。
排他することで自分たちも拒絶されていることに気づけないヤツには、その世界は見えてこない。
異国人の顔が同じに見えるというやつと同じ。
オレは偏見を捨てろとは言わない、オレにも捨てられない偏見はあるから。
ただ、偏見を捨てないことで、見えなくなってしまうものがあるってことを忘れないでいて欲しい。
コンビニでバイトする女の子の舌っ足らずのしゃべり方を、昔の友人のそれに重ねてふと懐かしいような寂しいような感覚がした。
彼女を雇っている店長の器と優しく見守ってる先輩バイトの目に涙が出そうになった。
「ありがと」
つり銭を渡された時にオレが発したその言葉に、にこりと笑った彼女の唇を素直に可愛いと思った。

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white

サクラ

国替えの日。
そこから十数年。
ボクはまだ此処に居る。

blue

蒼い屋根

春の夜。
落下する蒼。
満ちてくる静寂。

梅の香り

春の匂い。
冷たい風。
夕闇の温度。

葡萄酒の日

白葡萄酒

グラスの音。
いつもの音楽。
自分を取り戻す時間。

夕焼けの川

夕焼けの川

冷えた風。
夕闇の少し前。
夜はすぐ其処に。

#8

八重桜

間違えないように
焦らないように
あっという間に過去になる

toast

火酒

乾杯の温度。
10年分の遠回り。
グラスの中で鳴る氷。

a standard

チーズケーキと紅茶

定番。
年を経て研ぎ澄まされる。
懐古であり最新であるもの。

noise

雑音

浮き沈み。
雑念。
不調和の先の融和。

torch

蝋燭

「当たり前を当たり前に
 努力ってそういうもの」
そう言って、彼は笑った。 Details »

only lonely

鏡の中

鏡に弾かれる
刹那
独りだと知る

crossroad

交差点

Where is here.
Have I lost my way?
Time is over. Details »

day tripper

シーリングファン

たまに旅に出たくなる。
出来れば干渉されない場所に。
のんびりと、のんびりと。 Details »

bury

星

稀に記憶力の良さに驚かれる。
不足するがゆえの副産物かも知れない。
でも、そうではないと思ってる。 Details »

wall

バックヤード

5本目のボトルが壁に加わった。
グラスを重ねても酔いはまだこない。
真冬らしい寒さのせいだろうか。 Details »