傷口

過去を吐露するには傷口を開く痛みを伴う。
それに対して学習がないだのいい経験だのと軽い感想を持つのは、痛みを知らない側の人間。
知らないことを幸福に思いながら、口をつぐめとオレは言いたい。
痛みを知らない者の何の気なしの言葉が、痛みを持つ者の心を深く穿つことは少なくない。
失ってからでは遅すぎる。
失った存在の大きさを実感してからでは何もかもが遅すぎる。
自らが矮小であることを実感するのは、自身の体に傷を刻み込んでからであると、再び思い知らされた。
若さは罪ではないが、己の幼さを知らずに大人ぶるのは愚かさを通り越して罪であると思う。
ほとんどの学生は20歳を越えようとも、所詮は未だ机上でしか物を学んでいない世代だと、いつか自分が笑われていたように彼らを見てしまう。
自分が見ていない世界を見てきた相手は、たとえ見てきた世界がどんなものであろうと、認めるべきだとオレは思う。
それができないのは、オレたちのようなクズですらない。

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white

サクラ

国替えの日。
そこから十数年。
ボクはまだ此処に居る。

blue

蒼い屋根

春の夜。
落下する蒼。
満ちてくる静寂。

梅の香り

春の匂い。
冷たい風。
夕闇の温度。

葡萄酒の日

白葡萄酒

グラスの音。
いつもの音楽。
自分を取り戻す時間。

夕焼けの川

夕焼けの川

冷えた風。
夕闇の少し前。
夜はすぐ其処に。

#8

八重桜

間違えないように
焦らないように
あっという間に過去になる

toast

火酒

乾杯の温度。
10年分の遠回り。
グラスの中で鳴る氷。

a standard

チーズケーキと紅茶

定番。
年を経て研ぎ澄まされる。
懐古であり最新であるもの。

noise

雑音

浮き沈み。
雑念。
不調和の先の融和。

torch

蝋燭

「当たり前を当たり前に
 努力ってそういうもの」
そう言って、彼は笑った。 Details »

only lonely

鏡の中

鏡に弾かれる
刹那
独りだと知る

crossroad

交差点

Where is here.
Have I lost my way?
Time is over. Details »

day tripper

シーリングファン

たまに旅に出たくなる。
出来れば干渉されない場所に。
のんびりと、のんびりと。 Details »

bury

星

稀に記憶力の良さに驚かれる。
不足するがゆえの副産物かも知れない。
でも、そうではないと思ってる。 Details »

wall

バックヤード

5本目のボトルが壁に加わった。
グラスを重ねても酔いはまだこない。
真冬らしい寒さのせいだろうか。 Details »