おめでとう

彼の口から「店を辞める」と聞いたとき、素直にこぼれ出たのはその言葉。
シェイカーを振るどころか、酒を量ることも満足に出来なかった入店当初から知っている。
そんなヤツが料理をマスターし、客の扱いも手早く丁寧にこなせるバーテンダーに成長し、今度は料理人としての道を目指そうとしている。
ガキの成長を見守るオヤジの気分だ。
面食らったようにオレの顔を見て、一瞬悩んだ後で破顔した彼を素直に可愛いと思い、最高の笑顔を見たなと確信した。
「なんか変な感じだけど、アキラさんらしい」
オレらしい、そうなのかもしれない。
でも夢を持って進むヤツの退職をおめでとうと言うのは間違いなく正しいと思う。
今までお疲れさまとか、次も頑張れよとか、そういう言葉は似つかわしくない。
疲れたから辞めるわけじゃないし、頑張るつもりで次を目指すんだから、夢を見つけることが出来ておめでとうっていうのがイチバンしっくりする気がする。
だからオレから彼に捧げる言葉は、「おめでとう」ただこの一言がいい。

***

ハーレム。
渋谷のあのクラブです。
看板DJが相変わらずすごいですよね。
つなぎの巧さは、聴けば分かるホントに天才。
ハーレムのコンピを買おうかと思ってたんですが、以前の看板DJ Kaori嬢にやられました。
Def Jamのミックスにガツンと食らっちゃいましたね。
気持ちのいい選曲に、キレイなつなぎと文句なしの出来栄えです。
masterkeyがメジャーどころで攻めた昔のミックスを思い返しながら聴くと、選曲もクラブ未経験でも楽しめそうな渋いトコを突いてきて対比が楽しめそうな雰囲気。
ドライブのお供やパーティのBGMに楽しく聴けそうですが、間違っても通勤のお供にして満員電車でノリノリならないように注意って感じでしょかね。
個人的にはハーレムの今回のコンピよりお勧めです。

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white

サクラ

国替えの日。
そこから十数年。
ボクはまだ此処に居る。

blue

蒼い屋根

春の夜。
落下する蒼。
満ちてくる静寂。

梅の香り

春の匂い。
冷たい風。
夕闇の温度。

葡萄酒の日

白葡萄酒

グラスの音。
いつもの音楽。
自分を取り戻す時間。

夕焼けの川

夕焼けの川

冷えた風。
夕闇の少し前。
夜はすぐ其処に。

#8

八重桜

間違えないように
焦らないように
あっという間に過去になる

toast

火酒

乾杯の温度。
10年分の遠回り。
グラスの中で鳴る氷。

a standard

チーズケーキと紅茶

定番。
年を経て研ぎ澄まされる。
懐古であり最新であるもの。

noise

雑音

浮き沈み。
雑念。
不調和の先の融和。

torch

蝋燭

「当たり前を当たり前に
 努力ってそういうもの」
そう言って、彼は笑った。 Details »

only lonely

鏡の中

鏡に弾かれる
刹那
独りだと知る

crossroad

交差点

Where is here.
Have I lost my way?
Time is over. Details »

day tripper

シーリングファン

たまに旅に出たくなる。
出来れば干渉されない場所に。
のんびりと、のんびりと。 Details »

bury

星

稀に記憶力の良さに驚かれる。
不足するがゆえの副産物かも知れない。
でも、そうではないと思ってる。 Details »

wall

バックヤード

5本目のボトルが壁に加わった。
グラスを重ねても酔いはまだこない。
真冬らしい寒さのせいだろうか。 Details »