常に泣きそうな顔をしていた彼の顔は、自信に満ち溢れるものと変わっていました。
慣れない環境でテンパっている彼に、スタンダードではないカクテルをオーダーして困惑させたのは、ほぼ間違いなくオレでした。
彼は経験のなさをカバーするために、休日を利用したり店が跳ねてから朝までの短い時間で、そのメジャーになりえないカクテルを様々な店で飲みまくってくれたらしいです。
オレが毎回のように彼に告げていたのは、「次に来た時に不味かったら、この店2度と来ない」という最低最悪の脅し文句だったと記憶しています。
今になってはじめて、彼はそうやって色々なカクテルをかなり厳しく勉強させてくれたことが今の自信につながっていると言ってくれますが、当時の彼にしてみればとてもムチャなことを言う嫌な客だったろうなと思います。
これから先、こんな酷い客は出てこないでしょうけど、努力家の彼はますます成長していくんだろうなとひしひしと感じるものがあります。
すっかりクソガキからいい顔に化けてしまった彼のさらなる成長を、少し遠くからでも見守りたいのですわ。
だから料理を志すあの店のスタッフとしての彼へ、最初で最後の贈り物はグローバルのペティナイフにしました。
コイツを使いこなしてくれることは、そう遠くない将来だと信じています。
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