輪廻

いつものカウンターに座り、いつものカクテルを頼む。
何の気なしにしていた店から足が遠のいたのはもう半年以上前になる。
マスターが閉店の意志をオレに告げた時、駅からのアクセスの悪いその店に行くことはなくなった。
終わりを決意した人間は2種類に分かれる。
有終の美を飾るではないけど終着に向かってテンションを上げていくタイプと、次への準備段階と捉えて力を入れすぎることなく次へのステップとして流していくタイプ。
マスターは後者のタイプ、クレバーな判断と行動でココまで生き抜いてきた彼は無駄にテンションを上げたりはしない。
最後の花火は派手に打ち上げるのだろうけど、いやあの街の其処彼処にいる彼の世話になった少し柄の悪いステキなメンツが派手な花火をプレゼントするに違いないのだけど。
流しに入った店で飲む気は正直しない。
お互いの話をしながら酒を酌み交わすならそれもアリだけど、それは客と店員の関係ではありえない。
客のすっかりいなくなった時間に足を運ぶ以外には想像もつかないこと。
夜ごと、全盛期の彼の店の扉を叩く夢を見る。
初めてカウンターの内外関係なく付き合ってくれたあのバーへの感謝と畏敬の念を込めて。
夢の中で初めてのカクテルの味を思い出している。

コメントはまだありません »

コメントを残す

wheel of fortune

輪と樹

No.10。
金冠の獅子。
転機を示す輪。

silhouette

影絵

気怠い暖房。
暖かいお茶。
色のない夢を見る。

pine

皿の上の松

反芻する言葉。
キャロルの季節に。
大したことじゃないけど。

ノエルの靴

ノエルの靴

嬌声は遠く。
雑踏は遠く。
降誕祭の温度。

冬の華

華

暗い空にしがみつく星座。
片手には缶珈琲。
星の名前を思い出す。

I’ll sing the blues

蒼い灯

I’m free to be whatever I
Whatever I choose
And I’ll sing the blues if I want

Chant de Noel

紅色

ノエルの足音。
肌を刺す風の温度。
キャロルの聴こえ始める頃。

Tokyo Tower

Tokyo Tower

いつもと同じなら。
やり方は人それぞれ。
自分なりのそれを選べばいいだけ。

colors

夕暮れの灯

冬の匂いのする夕焼け。
色の変わる灯りを見上げる。
明日はきっと晴れる。

china blue

中華街の門

消えていく温度。
今はなき人たちの残り香。
今宵は良い歌を聴きたい。

wonder wall

壁画

壁に描かれる絵。
幼い頃のそれはスプレーで。
オトナになったそれは光の色で。

fountain

噴水

夕暮れ。
童謡の流れる時間。
お家に帰ろう。

キラキラヒカル

石の光る部屋

輝きの色と。
輝きの温度と。
キラキラヒカル。

恐竜の日

恐竜の日

何も変わらず。
胸の熱さはそのままに。
幼い日に見上げたのと同じ。

re:born

窓辺の華

嬌声と乾杯と。
遠回りの途中。
紡ぐのは記憶。