野毛

オモチャ箱をぶちまけたようなあの街。
みなとかこ野毛と、MM21に倣って名づけていたのは姉貴だったと思う。
昼の仕事に就き、紅葉坂の近くの営業所に配属され、焼酎の飲み方を教わったのは野毛の音楽通りのステキな居酒屋だった。
何人か頭数が集まるとふらりと繰り出しては、ビールで乾杯した後、誰ともなくキープしてある焼酎のボトルを空け、手羽餃子を〆に食べるのが定番だった。
異動になって都内勤務になった後も、上司と2人で帰り道から少し外れた桜木町に寄っては、気の置けないメンツとこんな飲み会を繰り返していた。
そんな宴が断ち切られたのはもう2年と少し前になる。
突然の彼の死は衝撃的で、いつしか野毛から足が遠のいていた。
彼の死の直後に水商売関係の人間と紅葉坂で早朝の花見をした時、前々年の春に営業所のメンツで花見をしたのを思い出して自然と涙がこぼれたのを覚えている。

オレはあのゴチャゴチャとした垢抜けない街を愛してる。
彼の街を愛した人たちを愛している。
いつの日にか、笑って焼酎を酌み交わせる日を願ってる。
いい年したバカな大人が雁首そろえて夜明けまで。

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wheel of fortune

輪と樹

No.10。
金冠の獅子。
転機を示す輪。

silhouette

影絵

気怠い暖房。
暖かいお茶。
色のない夢を見る。

pine

皿の上の松

反芻する言葉。
キャロルの季節に。
大したことじゃないけど。

ノエルの靴

ノエルの靴

嬌声は遠く。
雑踏は遠く。
降誕祭の温度。

冬の華

華

暗い空にしがみつく星座。
片手には缶珈琲。
星の名前を思い出す。

I’ll sing the blues

蒼い灯

I’m free to be whatever I
Whatever I choose
And I’ll sing the blues if I want

Chant de Noel

紅色

ノエルの足音。
肌を刺す風の温度。
キャロルの聴こえ始める頃。

Tokyo Tower

Tokyo Tower

いつもと同じなら。
やり方は人それぞれ。
自分なりのそれを選べばいいだけ。

colors

夕暮れの灯

冬の匂いのする夕焼け。
色の変わる灯りを見上げる。
明日はきっと晴れる。

china blue

中華街の門

消えていく温度。
今はなき人たちの残り香。
今宵は良い歌を聴きたい。

wonder wall

壁画

壁に描かれる絵。
幼い頃のそれはスプレーで。
オトナになったそれは光の色で。

fountain

噴水

夕暮れ。
童謡の流れる時間。
お家に帰ろう。

キラキラヒカル

石の光る部屋

輝きの色と。
輝きの温度と。
キラキラヒカル。

恐竜の日

恐竜の日

何も変わらず。
胸の熱さはそのままに。
幼い日に見上げたのと同じ。

re:born

窓辺の華

嬌声と乾杯と。
遠回りの途中。
紡ぐのは記憶。