久しぶりに花を手にした。
決して大きなものではないけど、新しい旅立ちを彩るのには身軽な方が相応しい。
なぜだか彼には黄色をベースにした花束を贈りたくなった。
花言葉でも知っていれば気の利いた花のチョイスも出来るんだろうけど、そんな洒落たものは知らないので、彼から受ける明るいイメージだけで黄色い花束を選んでいた。
選んだというよりは、気づけば手にしていたと表現する方が近かったかもしれない。
花束を携えてバーへ向かう道すがら、カラオケ帰りと思しき女の子たちとすれ違う。
最近じゃ花束を抱えるオトコは珍しいのか、突き刺さるような視線を感じる。
「カッコつけすぎって感じがするけど、なんかいいよね、花束って」
耳に飛び込んできた言葉が妙に心地良かった。
冷たい風を背中に受け、バーに向かう足を少し速めた。
RSS feed for comments on this post. / TrackBack URI